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クローゼット整理|住まいと生活

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住まい生活気ままコラムby石塚恭子
 『クローゼット整理のコツ』
捨て上手な彼女
 

私は年中そうではあるのだが、季節の変わり目には一段と着るものがない。
激変する体型のせいもあるが、クローゼットが久しく破綻しているのが原因だ。

記憶力も激低下しているので、去年の今頃着ていた服や買った服を思い出せない。
クローゼットのパイプを引っかき回して、ああ、これこれとか、
あまり記憶にないがわりと新しめの服を発見するのはちょっと楽しいが、
当然目が覚めるような成果もなく、やがていらいらしてくる。

着なくなった洋服は処分してクローゼットを整理しなくちゃと思うのだがなかなかできない。
結構高かったんだよなとか、それを着て可愛かった私(いつの服だ?)や
旅先で買って楽しかったなあ、とか。
そのうちやせるたら着れるし、とか。
捨てようと抜き出した服をまたパイプに戻すだめな私がいや。

「服を捨てるのは得意」と言う友人がいる。
捨てようと決めたらあんまり考えず、あれこれ点検したり、ちょっと着てみたりしないこと、と。
さらに「捨てた後、後悔したことは一度もない」と。

先日、その友人とランチをした。
私たちの世代に似合う洋服の話から、
やはりどこのご家庭でも危機感の高いクローゼット破綻問題へと話題は進んだ。

なぜか話は夫のスーツのことになった。
彼女が、何だって男性のスーツって同じような色や柄なのか?と今更な発言をする。
「だって、スーツってサラリーマンの横並び制服だもの。仕方ないんじゃない。
 突出していいのはお笑いかホストの仕事の人だけだよ」
それより、何十年もサラリーマンの妻をやって何十着も同じようなスーツを買ってきた彼女が、
なぜ今更そんなことを言うのだろう?

こういうわけだった。
少し前に、ご主人に新しいスーツを作ったそう。
いつものように、彼に似合う紺系に細いストライプの入った柄だった。
彼女の家のクローゼットは夫婦それぞれのパイプを決め、
どんなにぐちゃぐちゃでもお互い干渉しないルールとか。
ご主人は自分でそのスーツをそこに吊るし、
さっそく何日か続けて着て行った。
一週間程たったある朝、
「古いやつ、捨てておいて」と夫がたたんだ上着とズボンを出していった。
ちょうどその日はゴミの日だったので、そのまま彼女は紙袋に入れて捨てた。

数日後、新しいズボンをはいて上着をはおった夫が「あ”!」と叫んだ。
限りなく同じだが、微妙にストライプの幅が違う上着とズボン。

クローゼットのパイプの隙間にばらばらに押し込まれているうちに、
新しい上着とズボンは生き別れ、二度と会えない運命に〜・・・・・T_T

「で、その残った上下はどうしたの?」とおそるおそる私は聞いた。
「捨てたわよ!どうしろっていうの!!」
それはそれは怖い顔で彼女は言った。

 

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