昨年暮れに、住まいをリフォームした。
我が住まいは、築30年を超えた古いマンションの4階である。
十数年前に中古で買って以来、狭いながらもやりくりして快適に暮らして来たのだが、
ここしばらくちょっと手づまりな感じが高まってきて、
なんとかしなきゃなあと思っていたのである。
きっかけはごく簡単なことだった。
バルコニーに面した窓のカーテンは床から天井まで、壁一面をレースのカーテンにしている。
これがなかなか素敵なのだ。
古いマンションにありがちな引き違い窓が隠れて、天井も高く見える。
長いカーテンが風に揺れたりすると、とってもいい雰囲気。
さらにカーテンと窓の間に照明(チープな普通の蛍光灯)をつけたので、
夜はレースごしの間接照明効果が素晴らしいのである。
嬉しいので、カーテンはわりとまじめに半年に一度くらいは洗濯をしていた。
レースのカーテンのいいところは、家でも洗濯しやすいところだ。
洗って脱水してまた吊るせば、すぐ乾くし。
でも、だんだん汚れがたまってきて、洗ってもしゃっきりしなくなってきて、
そろそろ替えようかなと思っていた。
おまけに、加熱したクリップライトで焦がして小さな穴まで作ってしまった。
こりゃ、いよいよ。と思いながらも、なぜか忙しいとか面倒とか言いながら時間が過ぎていく。
そのうち、カーテンの裾を踏んづけた。
ひだのところのフックが折れて垂れ下がってきた。
かなりよろしくない。
そのころ、なんだかモノが家中にあふれだしてきた。
脚立をカーテンのところまで持っていくのさえ、ひどくおっくうだ。
脚立に上がると考えたただけで、頭に血が昇る。
私は、なんだか変だった。
何もかも面倒で、何をしてもやたらと疲れる、集中力がまるでない、力も希望もわいてこない。
どうしたんだ私!
つまり、どうもこれが更年期というものらしかった。
さらに夫の実家を片付けた際の、
捨てるにしのびない食器や思い出の品などが、ダンボールに数箱やってきた。
これがとどめとなった。
マンションの狭い玄関のドアを開けると、土間にダンボールが。
通路にも沿うようにダンボール。
納戸の衣服類や本などの前にもダンボール。
ダンボールを避けて体を横にして移動する。
何か出す時はその前にあるダンボールをまず移動しなくてはいけない。
掃除機のブラシが届かない場所がどんどん増えていく。
奥様の気働きとスペースのやりくりで乗り切ってきた我が住まいの収納力は、
完全に破綻してしまった。
かくして、我が住まいにはひたひたと憂鬱とほこりが積もり始め、
ふと気がつくともう何年もお客様が来ていない。
かろうじてドアだけをまたげるのは、クリーニング屋さんと宅急便屋さんだけ・・・。
これはいけない。
いかんいかんと思いつつ、何をする気にもならない。
そんなある日、仕事場をシェアしている友人が
「秋に、郷里に帰って両親と暮らそうと思う」と打ち明けた。
「家族が力」な彼女にとってそれはハッピーと思った。
しかし、私にとっては仕事場をどうにかになくてはいけない、ということを意味する。
シェアしてきた家賃を一人で負担するか、もっと安い(そんなところあるだろうか)他に移るか。
気分は落ち込んだ。
しかし、ありがたいことに決断は早かったのだ。
よし、私も家に帰ろう!
神様がくれたチャンスだ。
住まいを片付けて住まいで仕事をしよう。
もし神様が私にさせようとしている仕事があるのなら、神様は私がどこで働こうと気にしないだろう。
少なくとも事務所の家賃に悩むことは、神様がくれる私の仕事ではないだろう。
事務所は住まいに引っ越そう。
住まいをリフォームしよう。カーテンも替えよう。
既に破綻している収納をたてなおし、さらに事務所の建築本や資料や書類を持ち込めるように、
収納力をあげるリフォームをしよう。
入りきらない本やモノは処分しよう!
友人は雪が降る前に引っ越したいと言う。
期限は決まった。
なんだかちょっと晴れ晴れした。
めざせ、お友達を入れてあげられる我が住まい!
「住まいのリフォーム」、次回をお楽しみに。
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